原書7巻「Harry Potter and the Deathly Hallows」(ハリー・ポッターと死の秘宝)第26章までの感想スレッド。
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※百味ビーンズの感想に含まれるタイトル和訳及び内容の解釈は百味ビーンズ独自のものですので、間違っている可能性もあります。ご了承ください。
■第26章 Gringotts(グリンゴッツ)
計画は完成し、準備も整った。ハーマイオニーは、マルフォイ家で着ていたセーターから髪の毛を取り、ベラトリックスに変装する準備中。ハリーが奪ってきた本物のベラの杖を使うよう言われると、「とっても嫌だわ。すごく嫌な感じ。私が使ってもきちんと動かないと思うわ・・・まるで彼女の一部みたい。」と触るのもおぞましいような様子。「これはネビルのご両親やその他多くの人を拷問し、シリウスを殺した杖なのよ。」ハリーは考えてもみなかったが、彼女の言葉に杖をグリフィンドールの剣で真っ二つに叩き壊したい衝動にかられる。自分もあれだけ拷問されたのだから本当にベラが憎いしおぞましいんでしょうね。
「自分の杖が恋しいわ。オリバンダーさんが私にも作ってくれたら良かったのに。」オリバンダーは今朝ルーナに新しい杖を送ってきたばかりで、彼女が試しているのを強盗に杖を奪われたディーンも憂鬱そうに眺めてる。皆捕まった時に自分のオリジナルの杖は奪われちゃってるんですね。自分の杖が無いと魔法使いがどれだけ心細いものか感じますね。
ハリーはドラコのものだったサンザシの杖が少なくともハーちゃんと同じ程度上手く動いてくれるのが分かって驚いたけど嬉しかった。オリバンダーの言う通り、ハーちゃんはベラから自分で奪い取っていないので上手くいかないのだ。
グリップフックが部屋に入ってくるとハリーは本能的に剣を自分に引き寄せてしまい、きっと気付かれたとすぐ後悔。やっかいな空気をごまかすハリー。「最後に確認してたんだよ。ビルとフラーには明日僕らが発つ事と起きて見送らなくていいと言っておいたよ。」見られると何をしようとしてるか気付かれそうだし、もう戻らないとも告げてあり、強盗団に奪われてしまったのでビルは新しいテントを貸してくれた。ハーちゃんがビーズのバッグをただ靴下の中に隠す事で守っていたのには関心しちゃうハリー。すごいハーちゃん!あの状況でハリーの顔に呪文かけつつ隠してたんですね。
ここにいる皆と、我が家のようにくつろいだこの数週間と別れるのは淋しかったが、皆に聞かれてないか用心したり、小さな部屋に閉じこもった状態に疲れ、何よりグリップフックから早く解放されたかった。いつどうやってグリフィンドールの剣を渡さずにゴブリンと別れられるのか見当もつかなかったが、ゴブリンは5分と3人だけにはしてくれなかったので相談もできなかった。ハリーはビルの警告からして、いかなるインチキも見逃さないように見張ってるのだろうと疑った。ハーちゃんはゴブリンを騙す計画に本気で反対してたので、彼女の知恵も借りられず、ロンもその場で考えるしかないよと言うばかり。魔法省に押し入る前夜の決意と興奮に比べ、上手くいかないんじゃないかという恐れを振り払えず、不安と疑念に悩まされていた。ロンの気配から彼も眠れず同じように思ってるんだと感じたが、ディーンと同室だったので話せなかった。
6時になり着替えて庭に出ると5月の風が吹いていた。波の音とドビーのお墓との別れを惜しむハリー。ベラに変身して彼らより背が高いハーちゃんが「彼女はひどい味だわ、ガーディルートよりマズイ!」と言いながらグリップフックとやってくる。ポリジュース薬は1人分しか残ってなかったので今度は呪文でロンを変身させようとするけど、あごひげは長くし過ぎないでくれよ、鼻は短くしてくれ、とか注文の多いロン(笑)ハリーはグリップフックを背負い透明マントに隠れ、いよいよダイアゴン横丁の入り口、漏れ鍋の前へ姿現し。
漏れ鍋はほとんど人気が無く、小声で話していた2人の魔法使いはハーちゃんの姿を見ると影に隠れ、「レストレンジ様」と声をかけた店主のトムにハーちゃんが「おはよう」と言うとびっくりしていて、ハリーは「行儀良過ぎるよ。周りの人間をクズ扱いしなきゃ。」と囁く。ダイアゴン横丁はハリーが初めて訪れた時のにぎわいを失い、闇の魔術の店が増えていてハリーの手配写真が貼られていた。みすぼらしい姿で本物の魔法使いだと訴えながら物乞いしてる人達もいたが、ハーちゃんを見ると逃げ去った。血だらけの包帯をした男が「私の子供はどこだ!何をした!知ってるだろ!」と言いながらハーちゃんの首を絞めようと突進してきたので、咄嗟に呪文で気絶させたロンは自分でもショックを受けているのがあごひげの中から伺えた。
人々が窓から覗き、ハリーがこんなに目立っちゃいけなかったのに、戻って計画を練り直すべきかと考えてると「おや、マダムレストレンジ!」と男が声をかけてくる。ハーちゃんはできる限りさげすんだ態度で「何の用?」と言ったので男は明らかに侮辱された様子で、グリップフックがデスイーターのトラバースだと言ったので慌てて知らせるハリー。「挨拶しただけだぜ。お呼び出なかったんなら・・・」ハリーはこの声でゼノフィリウスに呼び出されたデスイーターの1人だと気付く。「いえ違うわトラバース、調子はどう?」急いで間違いを取り繕うハーちゃん。「ここで会うとは正直驚いたぜベラトリックス。」「そう?なぜ?」「マルフォイ家の住人は監禁されてると聞いたぜ。あの逃亡の後な。」「闇の帝王は過去最も忠実に仕えた者をお許しになったのよ。ひょっとすると私ほど信用されてないのかもしれないね、トラバース。」ハーちゃんはベラの侮辱的な態度を堂々と真似てみせた。男は気に障ったようだったが、疑いが薄れたようだった。「だが誰の杖を使ってるんだ?聞いたぜ、お前の杖は・・・」「ここに自分の杖を持ってるわ。どんな噂を聞いたか知らないけど、間違った事を聞いたようね。」今度はロンの事を聞かれ安全のために外国人に仕立てる。「ドラゴミール・デスパードよ。あまり英語は話せないけど、闇の帝王に共感してるわ。我々の新体制を見にわざわざトランシルバニアから来たの。」本当か?とロンに挨拶するトラバース。グリンゴッツに用があると言うと、都合の悪い事に俺もだと一緒に行くハメに!
入り口には制服のゴブリンに替わり長い金の棒を持った魔法使いが2人いて、空港の金属探知機みたいに身体チェック。グリップフックに聞いてたので、マントに隠れたハリーが2人に混乱呪文をかけて通過。ロンにホールの様子を説明するのを口実にトラバースを先に行かせると、年老いたゴブリンが出て来る。「レストレンジ様、今日はどういった御用で。」「私の金庫に入りたいのだ。」「では身分証をお持ちですか?」「身分証だと?そんな物を求められた事はないぞ。」「気付いたんだ!詐称者がいると警告されたんだ!」グリップフックが囁く。「杖でございます、マダム。」ハリーには分かった、グリンゴッツのゴブリンはベラの杖が盗まれたと気付いてるんだ。「早く!服従の呪文だ!」グリップフックに言われてハリーは生まれて初めて服従の呪文をかける。年老いたゴブリンはベラの杖を手にとると言った。「新しく作らせた杖をお持ちなのですね、レストレンジ様!」「何?いやそれは私の・・・」「新しい杖だと?だがどうやって、どの杖職人に作らせた?」とゴブリン達が見守る中で、またトラバースが乗り出してきて、ハリーは彼にも服従の呪文をかけたので「なるほどいい杖だ。上手く動くのか?杖は使いこまないとな。」と言った。ハーちゃんは完全に困惑してたが、黙ってこの奇妙な展開を受け入れた。
年老いたゴブリンはジャラジャラ音がする皮のバッグを持って来させ「金庫にご案内致します。」と言ったが、別のゴブリンが「待てボグロッド、指示を受けてるんだ。お許し下さいませレストレンジ様、ですがレストレンジ様の金庫には注意を払うよう特別な命令を受けております。」とボグロッドに耳打ちしたが、服従の呪文のかかったゴブリンは「指示は分かってる。レストレンジ様は金庫に入られたいのだ。非常に古くからの家系、古くからのお客様だ、どうぞこちらへ。」と言った。
移動してホールへのドアが閉まるとハリーは透明マントを脱ぎ、「困った事になってる、彼らは疑ってる。ボグロッドとトラバースに服従の呪文をかけたけど、十分強力にできたか分からない。」と言って、初めて許されざる呪文を使った時にベラが「本気でやる必要があるんだ、ポッター!」と言った言葉を思い出した。
ロンが「どうする?逃げた方がいいかな。」と言うとハーちゃんは「できるならね。」と言い、「もう後戻りはできない、やろう。」と言うハリー。ハリーはトラバースに再度服従の呪文をかけて隠れさせ、ボグロッドを連れて全員でカートに乗りこむと、ホールから叫び声が確かに聞こえてきた。カートは高速で鍾乳石の中の入り組んだ道を地下深くへ進み、ハリーは振り返りながら、デスイーターは誰が杖を盗んだか知ってるのにハーちゃんにベラの杖を持たせて変身させるなんてどれだけバカだったんだと思う。ヘアピンカーブを過ぎると、一瞬進路に滝があるのが見え、グリップフックが「ダメだ!」と叫ぶのが聞こえ、彼らは水の中へ!
何も見えず呼吸もできず、カートはひどく揺れてはじき飛ばされ皆投げ出される。壁に当たってカートが粉々になる音とハーちゃんが何か叫ぶ声が聞こえ、引き戻され地上にそっと落ちた。「衝撃をやわらげる呪文よ。」ロンが助け起こしたハーちゃんを見てぞっとするハリー。ハーちゃんもロンも元の姿に戻ってしまってる。ただの水ではなかったのだ。「泥棒の落とし罠だ!あらゆる魔法による隠ぺいを洗い流してしまう!詐称者がいると気付いて防御装置を作動させたんだ!」と言うグリップフック。ハーちゃんのビーズのバッグと透明マントを無くしてないのを確かめると、「追ってきてるのが聞こえるわ。」とハーちゃんが水の上にシールドを作り、「どうやってここから出るんだ?」と言うロンにハリーは「その時考えよう。」と言って進む。
角を曲がると覚悟はしていたものの全員立ち止まる。目の前に巨大なドラゴンが繋がれ大地を揺らす大音声で吼えながら火を噴き、最も深い4つか5つの金庫の前に立ちふさがっていた。グリップフックは「一部目が見えないんだが十分獰猛だ。だがコントロールする手段がある。」と言って、皮のバッグからいくつか小さな金属製の道具を出し、ボグロッドに渡し、彼が頭蓋骨に響くような大きな音を立てるとドラゴンは最後に一声吼えて後退した。そしてボグロッドに手の平を当てさせると、金貨や宝物で一杯の洞窟のような金庫のドアが消え去る。
金庫に入り「早く探すんだ!」と言うハリー。でも、2人にハッフルパフのカップの姿は説明してあったが、ここにどんなホークラックスが隠されているのかも分からないし、追っ手が来てるからゆっくり探す時間も無い、そして金庫のドアが鈍い音をたてて再び閉まり閉じ込められてしまい真っ暗に・・・。「大丈夫だ、ボグロッドがまた開けられる。」とグリップフックが言い、杖明かりを頼りに探す。
「ハリーこれかしら?あーっ!」ハーちゃんの痛そうな叫び声にそちらを見ると、彼女が握っていたゴブレットが落ちて大量のゴブレットになり、同じゴブレットで溢れどれが本物か分からなくなってしまった。「熱くなって火傷したわ!」水ぶくれになった指を舐めるハーちゃん。グリップフックが叫ぶ。「擬似呪文と燃焼呪文を追加したんだ。触れた物は全て熱く燃えて倍増するがコピーには何の価値も無い。お宝に触り続けていると最後には増大した金の重さで押しつぶされて死ぬことになるぞ!」ハリーは絶望的に「わかった、何も触るな!」と言ったが、崩れ落ちてきたゴブレットにロンの足が触れてしまい、熱い金属に触れて靴の一部が燃えてしまい、片足で飛びのくまで更に12回も増加してしまった。「じっとして、動いちゃダメ!」ロンをしっかりつかむハーちゃん。ハリーは言った。「ただ見まわして探すんだ!思い出してカップは小さくて金色でアナグマが刻まれてて取っ手が2つで・・・なければレイブンクローのシンボル鷲だ・・・」隅々まで見てみたが、全くかすりもしないでいるのは不可能でハリーは偽ガリオンの大きな滝を作ってしまい、ほとんどいる場所も無くなってきて、増え続ける金の熱で金庫の中はまるで炉の中。
「そこだ、そこにある!」ヘルガ・ハッフルパフのカップがあった。ヘプジバ・スミスからトム・リドルが盗んだカップが!でもどうやって取ったらいいのか、ハーちゃんが試した呼び寄せ呪文もグリップフックから聞いてた通り使えない。ダメだダメだと怒鳴るゴブリンを睨みつけるハリー。「じゃあどうしたらいいんだ?剣が欲しいならグリップフック、もっと助けてくれなきゃ・・・待てよ。剣でなら触れるかな?」近くの物で試したら問題無く触れる事ができたが、棚の上のカップはロンにも高過ぎて届かない。気温はどんどん高くなり、ハリーは汗だくでドラゴンがまた吼え出したのが聞こえた。本当に閉じ込められてしまった。
そこでハーちゃんがハリーに浮遊呪文をかけたが、その拍子に甲冑に触れてしまい白熱した体のような模倣品が溢れ出し狭い空間を埋め尽くした。ロンとハーちゃん、2人のゴブリンは痛みの叫び声をあげて他の物にぶつかりそれらも増大し始め、流れ出る熱い宝物に半ば埋まり、もがき叫んでいる。ハリーはやっとハッフルパフのカップを剣にひっかける事ができ、ハーちゃんは防水呪文で燃える金属から自分達を守る。それでもひどい叫び声がしてハリーが見下ろすと、ロンとハーちゃんは腰まで宝に埋まり、ボグロッドが流れに呑まれないようにもがいていたが、グリップフックは流れに呑まれもう指しか見えなかったので、ハリーは指を掴んで引き上げた。
浮遊呪文を解いて宝物の上に落ちると、剣はハリーの手を離れてしまう。「つかんで!剣はどこ?カップがひっかかってるんだ!」グリップフックはハリーの肩に上り、ドアの反対側の金属音は耳をつんざくほどになり・・・遅過ぎたか・・・。
グリップフックが「そこだ!」とみつけて突進したが、その瞬間ハリーはゴブリンはけして彼らが約束を守ると信じてなかったのが分かった。熱い金属の中に落っこちないようにしっかりハリーの髪の毛を握りながら、剣の柄を掴むとハリーの届かない高さに掲げ、ひっかかっていた小さなカップは放り出された。ゴブリンにまたがれたまま、ハリーは飛び出してカップを掴み、やけどしそうに熱かったが放すわけにはいかなかった。彼の握りこぶしから数え切れないほどのハッフルパフのカップが溢れ出して降り注ぎ、金庫のドアが開いたので、膨れ上がった熱い金や銀のなだれが彼らを押しのけ外へ流れていった。
増大し続ける宝物と熱さに体を覆われ痛みをなんとか耐えながら、ハリーはカップをポケットに放り込み、剣を回収するため手を伸ばしたが、グリップフックは消えていた。短刀を持って取り囲んだゴブリン達の中へ走りこみ、剣を振りまわして「泥棒だ!泥棒だ!助けてくれ!泥棒だ!」叫び、ゴブリン達は質問もせずに受け入れてしまった。
熱い金属の上をすべり立ちあがろうともがきながらハリーはドアを通り抜けるしか脱出する道は無いとわかっていた。3人はゴブリン達に失神呪文を放ち何人かは倒れたが残りが詰めよってくる。数人の魔法使いの守衛が角を曲がって走ってくるのも見えたが、繋がれたドラゴンが吼え、ゴブリン達の上に炎を噴出したので魔法使いは来た道を逃げた。
その時直感が、はたまた狂気がハリーに訪れた!ハリーはドラゴンを床に繋ぎとめていた鎖を呪文で外し「こっちだ!」と叫んでゴブリン達に失神呪文を放ちながらドラゴンに向って走った。3人は背中に登ったが、鱗はスチールのように固くドラゴンは彼ら気づいてないようだ。ドラゴンはすぐに鎖から放たれたのに気付いて大声で吼えて立ちあがり、広げた翼で悲鳴をあげるゴブリン達をバタバタとノックアウト。追跡してきたゴブリン達の投げる短刀がドラゴンの脇腹をかすめていき、ハーちゃんが「脱出できないわ、これ大き過ぎるもの!」叫んだが、ドラゴンは炎を噴出してトンネルを爆発させ、床も天井も粉々にして、すごい力でひっかいては障害物を通りぬけた。3人も必死でしがみついたまま呪文で通り道を作るのを助け、ドラゴンはふらつきながらダイアゴン横丁に出るとついに空に飛び立った。
隠蔽呪文を解いちゃう滝とかドラゴンとか、さすがにグリンゴッツと金庫の守りは磐石でしたね。ゴブリンの助けを得て金庫までは何とか辿り着いたけど、中身に触れる度に灼熱地獄。どうやって脱出するのかと思ったけど、ドラゴンに乗るとは鮮やかな脱出劇!でもやっぱりゴブリンは信用できなかった、というかお宝については本当に信用されてなかったんですね。新たなホークラックスを手に入れたけどグリフィンドールの剣を失ってしまいました・・・。
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