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Harry Potter Cafe

Welcome to Harry Potter Cafe
ハリー・ポッターシリーズの各作品について自由に語り合うCafeです♪
                    by百味ビーンズ

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原書7巻/死の秘宝 第36章

2007/10/30(Tue)22:48

原書7巻「Harry Potter and the Deathly Hallows」(ハリー・ポッターと死の秘宝)第36章までの感想スレッド。
7巻第36章までについてコメント可です。

※百味ビーンズの感想に含まれるタイトル和訳及び内容の解釈は百味ビーンズ独自のものですので、間違っている可能性もあります。ご了承ください。

■第36章 The Flaw In the Plan(計画の欠点)
森の中で、うつ伏せに横たわっていた。全身がくまなく痛み、杖も透明マントも胸元の見えない場所に突っ込まれたままだ。自分の死を喜ぶ勝利の歓声がするだろうと思ったのに、慌しい足音と気遣わしげな囁き声が。「我が帝王・・・我が帝王・・・」恋人に語りかけるようなベラトリックスの声。「これでよいだろう。」ヴォルデモートの声。何が起きてるのか知りたくて薄目を開けると、ヴォルは立ち上がろうとして、取り囲んでいたデスイーター達が慌ててもとの配置に戻る所だった。ハリーに死の呪いを放った時何かが起こり、ヴォルも卒倒したようだ。2人とも倒れてしばらく意識を失い、2人とも今意識を取り戻した・・・。
何が起こったのでしょう。ホークラックスが破壊されても気付かなかったヴォルだけど、自分で自分のホークラックスを破壊したからでしょうか。ホークラックスという繋がりは消滅しても、お互いリリーの守りの入った血が流れる2人。ハリーが生死の境をさまよっていた間ヴォルも意識を失っていたとは興味深いですね。
手を貸そうとするベラを冷たく断わり、「小僧は・・・死んだのか?」と尋ねるヴォル。皆沈黙し、誰もハリーに近付こうとしないが、全員の視線を感じぴくりとも動けない。「お前、死んでいるか調べろ。」ヴォルに命じられ誰かが小さな悲鳴をあげた。誰か分からず待つしかなかったが、ヴォルはハリーに近付く事を警戒し、全て計画通りには進んでいないようなのが少し励みになった。予想したより柔らかな手がハリーに触れ体を確かめる。ハリーの鼓動に気付いた事がわかったが、彼女は耳元で囁く。「ドラコは生きてるの?城にいるの?」ナルシッサだ!
彼女の長い髪が他の者から顔を隠していたのでハリーも「Yes」と囁く。彼女は立ち上がり「死んでるわ!」と言った。やっと皆が勝利の歓声をあげる。ナルシッサってプライド高くて神経質で嫌なやつだったけど、ヴォルへの忠誠より息子への愛が勝っていたのには救われましたね!
「見たか?ハリー・ポッターは我が手によって死んだ、この世に俺様を脅かす者はもういない!見ろ!クルーシオ!」ハリーはヴォルが勝利を証明するために自分を辱めるだろうと分かっていた。空中に舞い上げられ、脱力したままでいるのは固い決意を要したが、予想外な事に痛みは無かった。ハリーはまだ生きているのに、ヴォルの磔の呪文は今回に限ってなぜ効かないのでしょう?!(後半で明かになります。)
何度も何度も放り投げられ、メガネは外れ、ローブの下で杖もずれたが、死んだふりを続け、ついに地面に投げつけられると嘲り笑いが響き渡る。「では城に行き、やつらの英雄がどうなったか見せてやろう。誰が小僧を引きずっていく?いや待て・・・」ヴォルはハリーがよく見えるようハグリッドに抱えさせ、すぐに分かるようメガネもつけさせる。ハリーの死を嘆き悲しんでいるハグリッドが抱えていればより効果的とでも思ったのでしょうか。本当にいやらしい性格!
ハリーを優しく抱え上げたハグリッドは震えてすすり泣き、大粒の涙が落ちて来るが、彼に合図を送る事もできない。ケンタウルス達が現れたようだ。「ベイン!嬉しいか、戦いもせんで、お前達は駄馬の群れか?嬉しいのか、ハリー・ポッターが・・・死んで・・・」もう言葉を続けられないハグリッド(泣)
森の端にたどり着くとディメンターがパトロールしているが、もうハリーは影響されない。生き残った事実が彼の中で燃えつづけ、まるで父親の雄鹿が彼を守り続けているかのように魔除けとなった。
魔法で拡張されたヴォルの声が響き渡る。「ハリー・ポッターは死んだ。お前達がこいつのために命を投げ打ってる間、自分だけ助かろうと逃亡をはかっていて殺されたのだ。お前達の英雄が死んだ証拠に死体を持ってきたぞ。戦いは勝利を迎えた。お前達は戦士の半数を失い、我がデスイーターが数で勝っている、生き残った少年は終ったのだ。もう戦争は終った。抵抗を続けるなら女子供も家族も皆虐殺されるぞ。城を出て俺様の前にひれ伏せば見逃してやる。家族も生き長らえ許されるぞ。そして俺様に加わり共に新たな世界を築くのだ。」
先頭に立って歩き出したヴォルを薄目を開けて見ると、魔法で防御されたケージから取り出されたナギニを首に巻きつけていたが、デスイーターに気付かれず攻撃する事はできない。
城の前に着くと、マクゴナガル先生がおよそ先生らしくない悲痛な叫び声をあげ、先生の絶望をベラが喜び笑っている。戦いを生き延びた者達が玄関から出て来て、彼らの征服者とハリーの死に直面する。「ダメよ!」「ハリー!ハリー!」ロンとハーマイオニー、ジニーの叫び声はマクゴナガル先生より悲痛だった。何より彼らに叫び返したかったが、必死にこらえた。彼らの声を引き金に皆が叫び声をあげ、デスイーターをののしった。「黙れ!」ヴォルが叫ぶと爆発音と眩しい閃光が走り、皆が魔法で黙らされた。
「終ったのだ!ハグリッドそいつを俺様の足元におろせ、そいつが属する場所に!見たかハリー・ポッターは死んだ。やっとわかったか?思い違いをしてたのか?こいつはただこいつの為に犠牲になる者に頼っていただけの小僧に過ぎない。」「お前は彼にかなわない!」ロンが叫び、沈黙の呪文が破られてまた皆が叫び出したが、ヴォルはもっと強力な爆発音を起こし皆を再び黙らせた。ヴォルはまたハリーは逃げたのだと嘘を楽しんでいたが、戦いを挑んできた者に遮られ、たやすく杖を吹き飛ばしてしまい「これ以上抵抗すればどうなるかわざわざ示してくれたのは誰だ?」と尋ねると、ベラが答える。「キャロウ達をてこずらせていたネビル・ロングボトムです、我が帝王。闇払いの息子です。覚えておいでですか?」「ああ、覚えている。だがお前は純血だったな、勇敢な小僧?」杖を失いながらも拳を握って大声で答えるネビル。「それがどうした?」「お前は気概と勇気を示し、高貴な血統の出だ。価値あるデスイーターになるだろう。お前のような者が必要だ、ネビル・ロングボトム。」「お前に加わるのは地獄が凍りつく時だ、ダンブルドア軍団だ!」群集から歓声が上がった。もうヴォルの沈黙の呪文は維持できないようだ。
ハリーが服従の呪文に抵抗する事ができたように、ロンとネビルの勇気が沈黙の呪文を破ったのでしょうか?すごぉ~い!!
「よかろう。それがお前の選択なら、ロングボトム、当初の計画に戻る。ホグワーツでは今後もう組分けは行われない。各寮も存在しない。紋章も色も我が高貴なる祖先サラザール・スリザリンがあれば十分だ、そうだろう、ネビル・ロングボトム?」ヴォルは組分け帽子を呼び寄せ、硬直したネビルに被せたので目まで覆い隠され、「愚かにも俺様にたてつく者はどうなるか皆に示してもらおう。」と帽子に火を放つ。なんて残酷な・・・。
炎上したネビルはその場から動く事もできず、ハリーはもう耐え切れず行動に出ようとするが、同時に多くの事が起こる。戦いの叫び声があがり、ハガー!と現れたグロウプにヴォル側の巨人達が殺到して地震のような地響きが起こり、矢が放たれ、デスイーターも驚いて隊列を崩す。子供にこんな残虐な事をするヴォルに怒りを覚えたのか、ついにフィレンツェ以外のケンタウルスも戦いに参戦してくれたんですね!
この大混乱に乗じてハリーは透明マントを被って立ち上がり、金縛り術が解けたネビルから炎上した帽子が落ちると彼はその中から銀色の輝くルビーのついた何かを取り出す!あまりの喧騒で何も聞こえないのに全員が注目する中、ネビルは一撃でナギニの首を切り落とし、ヴォルは怒りの叫びをあげ、杖を掲げる前にハリーはマントに隠れたままネビルの前に守りのシールドをはる。
ネビルが最後のホークラックスを破壊したよぉ~!!ヽ(^◇^*)/キャー大興奮☆彡ネビルもやはり真のグリフィンドール生だからこそ組み分け帽子から剣を取り出せたんですよね。勝手に持ってったグリップフックはいきなり消えてびっくりしてる事でしょう(笑)
8月にネビルを演じるマシュー君のサイン会に行った時に、彼は7巻を読み終えてて、私もざっくりと1度目を読み終えた後だったので、お互いの7巻の感想を少し語り合えたのですが、「7巻でネビルは更に重要なキャラになってくるね!」と言ったら、「そうなんだ、(ホグワーツで)革命のリーダーになるし、ナギニをやっつけるし、演じるのが楽しみだよ。」と彼も顔を輝かせてました。サイン会の模様はこちら
「ハリー!どこだハリー?」ハグリッドが叫び、ケンタウルスの攻撃でデスイーターは散り散りになり、全員が巨人達から逃げて大混乱の中、セストラルやバックビークの援軍が飛んできてグロウプを殴る巨人達の目を引っ掻く。グロウプが森で暮らす間、皆友達になってたんでしょうか(泣)
魔法使い達は敵も味方も城内に非難を余儀なくされ、ハリーはみつけたデスイーターを皆攻撃しながらヴォルを探して城内へ。ヴォルが部下に命令しながら呪文を放っているのをみつけて、狙われたシェーマスとハンナ・アボットの前に守りのシールドをはるハリー。戦い続けているホグワーツの生徒、家族や友人達の先頭では、まだパジャマ姿のスラグホーンにチャーリーが追いつき、ホグズミードの店主や住人達、ケンタウルス達も、そしてキッチンに通じる扉が開きホグワーツの屋敷しもべ達も武器を手に加勢にかけつける。
彼らの先頭で、胸にレギュラス・ブラックのロケットを下げたクリーチャーが叫ぶ。「戦え!戦え!我が主人、屋敷しもべの守り手のために!闇の帝王と戦え、勇敢なレギュラスの名において!戦え!」ハリーとレギュラスのために戦うクリーチャー、このセリフには感動しました。頑張れ屋敷しもべ達!o(iДi)o
デスイーター達は呪文とケンタウルスの矢で攻撃され、屋敷しもべ達には足を突き刺され、逃げ出そうとする者も群集に呑みこまれてしまう。だが戦いは終っていない、戦う人々をすり抜けて進むと、ヴォルが大広間の中心で戦っている。
Yaxleyはジョージとリーに床に叩きつけられ、ドロホフはフリットウィック先生に倒され、マクネア(バックビークを処刑しようとしたデスイーター)はハグリッドに石壁に向って大きく放り投げられ、ロンとネビルはグレイバックを倒し、アバーフォースはルックウッドを失神させ、アーサーとパーシーはThicknesse(魔法省大臣をやってたデスイーター)を叩きのめし、ルシウスとナルシッサはこの状況の中戦おうともせず、必死に息子を探していた。
ルシウスのデスイーターとしての行いは狡猾で残忍だし、マルフォイ家は自分達の利益のためなら誰にでもつくし他人を犠牲にしても気にしない傲慢な野心家だけど、彼らの家族愛だけは本物なんですね。純血主義とか傲慢さとか誤った思想を叩き込まれていても、本当に愛されていたからこそドラコには良心が残ってたんですね。
ヴォルは、マクゴナガル、スラグホーン、キングスリーと同時に戦い、ベラもハーマイオニー、ジニー、ルーナと同時に戦い、3人が全力を出していても互角で、死の呪いが危うくジニーのあまりに近くをかすめたので、ハリーはヴォルより先にベラに向おうとするが突き飛ばされる。
「よくも私の娘に、このアバズレ!!」ウィーズリーおばさんが突進し、ベラは新たな挑戦者に向きを変え嘲り笑うが、「どきなさい!」モリーは女の子達に叫ぶと大きく杖を振って決闘を始め、彼女のあまりの気迫にベラの笑顔は怯んでうなり声を出す。2人の杖から閃光が放たれ、周囲の床は熱くなって亀裂が入る。両者とも殺すつもりで戦っていた。「ダメだ!」ウィーズリーおじさんが叫び、数人の生徒が彼女を守ろうと進み出たが、「下がりなさい!私の獲物よ!」と叫ぶモリー。今や多くの人達がヴォルと3人の対戦者、ベラとモリーの2つの戦いを見守り、ハリーはマントに隠れたまま助太刀したくても味方を傷付けそうで手を出せずにいた。
「あたしがあんたを殺したら、あんたの子供達はどうなるだろうね?フレディーみたいにママも逝ってしまったら?」嘲るベラに絶叫するモリー。「二度と、子供達には、指一本、触れさせやしない!」シリウスがベールの向こうへぐらりと倒れた時のように陽気に笑ったベラの表情を見てハリーは突然状況がわかった。モリーの呪文がベラの心臓を直撃し、彼女の満足気な笑顔が凍りつき、目が見開かれ、一瞬何か起こったのか気付くとくずおれて、周囲の群衆とヴォルが叫び声をあげた。
このシーンのモリーママはアバズレ!なんて普段使わないような暴言吐いちゃって本当に母は強しって感じで、猛烈な気迫で、是非原書or日本語版が出たら詳細まで味わって欲しいシーンです。ベラはネビルが両親の復讐の為にやっつけるんじゃないかという予想がファンの間で多かったですが、ローリングさんはなぜモリーにしたのか最近の質疑応答で答えてくれてましたね。
『ネビルにはベラを憎む理由があるしそういう予想が多いのは知ってたけど、ずっとベラを終らせるのはモリーだと分かってた。彼女にやらせたかったのは2つの理由がある。1つは、モリーは優秀な魔女だけど家事や子育てに追われその才能が隠されていて、彼女のシーンを作ってあげたかったし、家族の為に献身している女性は他に才能が無いというわけじゃないという事を示したかった。2つめは、ベラがヴォルに抱いてる感情を愛と呼べるなら、彼女の病的な強迫観念のような愛と、愛する事で力を与えるモリーのような典型的な母の愛を対抗させたかった。』
非常に納得&共感できる素晴らしい理由で、些細な事に至るまできちんと理由や背景があったりするのが、ローリングさんには本当に感服してしまいます。執着や自己愛を反映したような愛と違って無償の愛の素晴らしさがこの対比で鮮やかに描かれてますね。
最後の最も信頼する部下の戦死にヴォルの怒りは爆発し、戦っていた3人は吹っ飛ばされ、今度はモリーに直接杖を向けたのでハリーは守りのシールドをはる。愛する事を知らないヴォルなのでベラを愛していたわけじゃないだろうけど、執着のあるお気に入りの部下だった事だけは確かなようですね。
ヴォルが誰が呪文を放ったのか見回したので、ついにハリーはマントを脱ぎ、「ハリー!」「生きてる!」と驚きと喜びの声が上がり皆息をのむ。ヴォルとハリーは見つめあったまま、同時に円を描き始め、群衆は恐れて完全な沈黙が訪れた。ついにヴォルとハリー1対1の対決!!
ハリーは大声で言った。「誰も手を出さないでくれ。こうなるはずだった。僕がやるべきなんだ。」「ポッター、そんなつもりはないだろう、それはお前のやり方じゃないだろ?今日は誰に盾になってもらうつもりだ?」赤い目を見開き、語気を強めるヴォル。だがハリーは淡々と答える。「誰でもない。ホークラックスはもう無い。ただお前と僕だけだ。一方が生きるかぎり他方は生きられぬ、2人の内1人が永遠に去るんだ・・・」「2人の内1人だと?それはお前だと分かっているのだろう、事故とダンブルドアが糸を引いていたために生き延びてきた小僧?」「母さんが僕を救うために死んだ時、それは事故だったか?墓地で僕が戦うと決めた時、それは事故だったか?今夜僕が自分の身を守りもせず、未だに生き延びて、再び戦うために戻ってきたのは事故か?」「事故だ!事故と偶然と、実際は自分より優れた者達を俺様に殺させその影に隠れて縮こまり泣きじゃくっていただけだ!」緑と赤の目が見つめ合う。「今夜お前は誰も殺さない。二度と再び誰も殺す事はできないんだ。分かるか?お前が皆を傷つけるのを止めるためなら僕は死ぬ覚悟ができてた・・・」「だが実際は違った!」「僕は本気だった、母さんと同じ事をしたんだ。彼らはお前から守られてる。彼らにかけた呪文がどれも拘束力がなかったのに気付かなかったか?彼らを拷問する事も、触れる事もできないんだ。過ちから何も学んでいないようだな、リドル?」
ハリーが自分の命を犠牲にして皆を守ろうとしたからお母さんと同じく皆に守りの魔法がかかったんですね。だから沈黙の呪文は破られ、ネビルも帽子が炎上しても無事だったのかしら。リドルとヴォルが嫌っていた本名で呼んだり、言葉で責めるハリーの心理戦がかっこいい!!
「俺様に挑む気か?」「そうだ、僕はお前の知らない事を知ってるんだ、トム・リドル。お前の知らない沢山の重要な事を。再び大きな過ちを犯す前に聞きたいか?」ヴォルは黙っていたが、ハリーが最後の秘密を知っている微かな可能性に一時的に魅了され、追い詰められているのが分かった。
「またしても愛か?ダンブルドアお気に入りの解決策、愛は死をも征服すると主張していたが、愛は彼が塔から落ちて古いろう人形のように壊れるのは止められなかったぞ?愛は俺様がお前の穢れた血の母親をゴキブリのように踏みつけるのを止められなかったぞ、ポッター。そして今度は誰もお前の替わりに俺様の呪文を受けるため乗り出してくるほどお前を愛している者はないようだぞ。俺様が今攻撃したら、何がお前が死ぬのを止めるというのだ?」「ただ1つの事だ。」「今回お前を救ってくれるのが愛でないなら、俺様にできない魔法ができるか、俺様より強力な武器を持っているとでも信じているのか?」「両方信じてる。」蛇のような顔に一瞬衝撃がよぎったがすぐに消え、ヴォルの笑い声は叫び声より恐ろしく響き渡った。
「俺様より魔法を知っているとでも?ダンブルドアが夢にも思わなかった魔法を操るヴォルデモート卿よりも?」「おや、彼は夢に見ていたさ、だがお前より多くを知っていた、お前のした事で何をすべきでなかったか十分知っていた。」「やつが弱かったという事だ、弱過ぎて俺様のものとなる物を持ち続ける勇気が無かったのだ!」「違う、彼はお前より賢かった、お前より優れた魔法使いで、優れた人間だった。」
「俺様はアルバス・ダンブルドアに死をもたらした!」「お前はそう思っていただろうが、間違いだ。」「ダンブルドアは死んだ!やつの遺体が墓で朽果てているのを見たぞ、やつは戻らない!」
だがハリーは穏やかに答える。「ああダンブルドアは死んだ、だがお前は殺していない。彼は自分の死に方を選んだ、死ぬ何ヶ月も前に、全てをお前が自分のしもべだと思っていた男と仕組んでいたんだ。」「なんとばかげた子供じみた妄想だ?」「セブルス・スネイプはお前の味方じゃなかった。お前が僕の母さんを狙った瞬間からダンブルドアの味方だった。お前は気付きもしなかった、お前には理解できない事だからだ。お前はスネイプの守護霊を見た事がないだろう、リドル?スネイプの守護霊は雌鹿だ、僕の母さんと同じ、子供の時に出会って以来彼は残りの人生の全てをかけて彼女を愛していたからだ。気付くべきだったな、彼はお前に彼女の命だけは容赦するよう頼んだだろう?」「彼は彼女を欲しただけだ、だが彼女が死ぬと彼は他にもっと純血で価値ある女がいると同意した・・・」「もちろん彼はそう言っただろうさ、だがお前が彼女を脅かした瞬間から彼はダンブルドアのスパイで、ずっとお前に歯向って働いて来た!スネイプが倒した時、ダンブルドアは既に死にかけていたんだ!」「そんな事は問題ではない!スネイプが誰の味方だろうと、やつらがどんな些細な妨害を試みようと!スネイプの偉大な愛があったとしてもお前の母親にしたと同じようにやつらも押しつぶしてやった!おや、だがこれで全て辻褄が合うな、ポッター、お前には理解できないだろうがな!ダンブルドアはニワトコの杖を俺様が手に入れられないようにしていた!スネイプを杖の真の所有者にするつもりだった!だが俺様はお前より先に杖に辿り着いたのだ小僧、お前より先に真実を理解した。俺様はスネイプを3時間前に殺し、ニワトコの杖、死の杖、運命の杖は俺様の物になったのだ!ダンブルドアの最後の計画は成功しなかったのだ、ハリー・ポッター!」
「ああそうだ、その通りだ。だが僕を殺そうとする前に、お前がこれまで何をしてきたか考えるよう忠告する・・・考えろ、そして少しは後悔してみろ、リドル・・・」この言葉はハリーが言ったどの言葉よりヴォルを動揺させた。「何だと?」「これが唯一で最後のチャンスだ。お前に残された全てだ・・・さもなくば、お前がどうなるか僕は見てきた・・・人間になれ・・・やってみろ・・・後悔してみろ・・・」
この後悔って、6章でハーちゃんが説明していたように、ホークラックスで分けてしまった魂を元に戻す唯一の方法ですよね。そこまでハリーが知っていた事にヴォルはドキリとしたのではないでしょうか。
そしてハリーはヴォルが後悔しなければどうなるか、35章のキングス・クロス駅で赤剥けになった苦しんでいた子供の姿を見たからこそ、彼に最後の更正のチャンスを与えているんですね。残虐で愚かなヴォルに比べ、ハリーの心は気高いな~。
「俺様に挑む気か?」ヴォルは再び言った。「そうだ、ダンブルドアの最後の計画は僕には全く裏目に出なかったからだ。お前の裏目に出たんだ、リドル。」ニワトコの杖を握るヴォルの手が震え、ハリーはドラコの杖をしっかりと握った。「その杖がお前のために未だにまともに働かないのは、お前が間違った相手を殺したからだ。セブルス・スネイプはけしてニワトコの杖の真の所有者ではなかった。彼はけしてダンブルドアを打ち負かせなかった。」「彼は殺した・・・」「聞いてなかったのか?スネイプはけしてダンブルドアを打ち負かせなかった!ダンブルドアの死は彼らが計画したんだ!ダンブルドアは打ち負かされないまま死ぬつもりだった、杖の最後の真の所有者として!全てが計画通りなら、杖の力は彼と共に絶えたはずだ、杖は彼から勝ち取られなかったのだから!」
「もしそうなら、ポッター、ダンブルドアは俺様に杖をくれたも同然だ!俺様は杖を最後の持主の墓から盗んだのだ!最後の持主の意に反して取り去ったのだ!その力は俺様の物だ!」「まだ分かっていないようだな、リドル?杖を所有するだけでは十分じゃないんだ!持っていても、使っていても、本当にお前の物にはならない。オリバンダーに聞かなかったのか?杖は魔法使いを選ぶ・・・ニワトコの杖はダンブルドアが死ぬ前に新たな所有者を認識した、杖に触れた事もない者を。新たな所有者はダンブルドアから杖を取り去った、自分が何をしたのかも、世界で最も危険な杖が彼に忠誠を与えた事も気付かずに・・・ニワトコの杖の真の所有者はドラコ・マルフォイだ。」
「・・・だがそれがどうしたと言うのだ?もしお前が正しいとしても、ポッター、俺達の間に何の関係もない。お前はもう不死鳥の尾羽根の杖も持っていない。技量だけを頼りに決闘するのだ・・・そしてお前を殺した後、ドラコ・マルフォイを始末すればいい・・・」「だが遅過ぎたな、お前はチャンスを逃した。僕が先に辿り着いた。数週間前にドラコに打ち勝ったんだ。この杖を彼から奪ったんだ。」
ハリーはサンザシの杖を引き寄せ、全員が注目しているのを感じた。「つまり全ては結局こういう事だろう?お前の手の中にある杖は、最後の所有者が武装解除されたのを知っているのでは?なぜなら、もしそうだとすれば・・・僕がニワトコの杖の真の所有者だ。」
ヴォルは杖の所有権を得るには殺す必要があると思い込んでいたためスネイプを殺したのに、珍しく自ら手を下さなかったので本当にそれで所有権は移ったんだろうかとも思ったりしたんですよね。ナギニにやらせたのも魔法をかけたヴォルがやったという事になるのかもしれませんが。死の呪いで殺したんじゃスネイプとハリーの最後のシーンが無くなっちゃうので、単にストーリー上の都合かもしれないけど、さすがのヴォルも腹心の部下を自らの手で殺すのは多少苦々しかったのかな~とも感じました。
35章のキングス・クロス駅では、ダンブルドアはスネイプと自分の死を計画し、彼が最後の杖の所有者となるよう計画したが、そのようにならなかったと言っていたので、スネイプはヴォルが真の所有者となるため自分を殺す可能性も理解した上でその危険を受け入れたのかしら等と考えてましたが、物理的にダンブルドアを殺しても共に計画した事だからか、本人の意に反して杖を奪った訳ではないからか、打ち負かした事にならず所有権は移転しなかったのでしょうか?所有権がスネイプに移ったと見せかけて、ダンブルドアが所有したまま死ぬ事で杖の力を永遠に封じるのが彼らの計画だったのか?
計画がどちらだったにしても、思い出してみると確かにスネイプが殺す前にドラコがダンブルドアを武装解除して杖を奪ったので、所有権は杖に触れてもいないドラコに移転していたのですね~!!そしてハリーがドラコの杖を奪ったからニワトコの杖の所有権はハリーの物に?どの杖で戦っていようと、本人の意に反して杖を奪い取られたらその人の所有する全ての杖の所有権が移るという事でしょうか。
森でハリーが死の呪いを受けた時死んだのはハリーでなくヴォルのかけらのホークラックスだったし、ハリーは杖も出さず戦おうともしなかったから、意に反して杖を奪われる事にならずハリーの所有権は移らなかったのですね。
この杖の所有権のトリックは入り組んでいて複雑ですね~。ハリーはキングス・クロスでダンブルドアと話してから、一体いつの時点でこの事実に気付いたんだろう!すごい!!鳥肌が立っちゃいました!
近くの窓に眩しい太陽が現れ、魔法がかけられた天井の空に突然光がさし込み、光が2人の顔を照らした瞬間ヴォルは金切り声をあげ、同時にハリーも運を天にまかせドラコの杖を掲げて叫んだ。「アバダケダブラ!」「エクスペリアームス!」大砲が爆発したようなごう音が鳴り響き、呪文が衝突した2人のちょうど真中には金色の炎が噴出し、ハリーはヴォルの放った緑の閃光が自分の呪文とぶつかるとニワトコの杖が魔法がかけられた天井へと高く舞い上がり、ついに完全な所有権を手にした所有者へ殺す事なく空中で向きを変えたのを見た。そしてハリーはシーカーの的確な技量であいていた片手に杖をキャッチし、ヴォルの赤い目は白目をむき両手を広げ床に倒れた。ヴォルは死んだ、跳ね返った自身の呪文によって殺され、ハリーは2本の杖を手に敵の抜け殻を見下ろして立っていた。
2人の呪文は衝突したのでハリーの呪文が早かったのではなく、ハリーの説は正しくて、ニワトコの杖はハリーを所有者と認識したので所有者を攻撃できず、死の呪いは発したヴォルに跳ね返ったわけですね!森でヴォルは所有者であるハリーにニワトコの杖で死の呪いをかけた訳ですが、ハリーは戦いもしなかったし、杖はハリーの中のヴォルのかけらを敵と認識して殺したからあの時は呪文が跳ね返らなかったという事でしょうか?
結局ハリーがニワトコの杖の真の所有者となったので、ヴォルがニワトコの杖で攻撃する限りハリーは絶対無事で勝利は決まっていたんですね!ダンブルドアもドラコとハリーの動きでハリーが最後の所有者となるなんて、こんな展開までは予測できなかったに違いありません!でも全てはカラクリが分かっていた訳でもなく本気で皆のために命を投げ出そうとしたハリーの勇気の勝利ですよね!!素晴らしい~o(iДi)o
ぞっとする一瞬の沈黙の後、ハリーの周りで見守っていた人達の叫びや歓声の大騒ぎが大爆発。太陽の光は眩しく輝き、皆がハリーのもとに押し寄せ、最初に辿り着いて抱きしめたロンとハーマイオニーの何を言ってるのか分からない叫び声で他には何も聞こえなくなり、ジニー、ネビル、ルーナ、ウィーズリー家の皆、ハグリッド、キングスリーに、マクゴナガル、フリットウィック、スプラウト先生達がやってきて、ハリーはもう誰が何を叫び、誰の手が掴んだり抱きしめたりしているのかも分からなかった。何百人もの皆が押し寄せ生き残った少年に触れようとしていた、ついに戦いが終ったからだ・・・。ホグワーツの上に太陽はどんどん昇り、大広間は生気と光で輝いていた。彼らのリーダー、象徴、救世者、指導者として皆がハリーを求め、ハリーは感謝を受け入れ、追悼の悲しみと祝賀の歓喜を分かち合った。逃亡できなかったデスイーターは捕まり、アズカバンに閉じ込められた無実の人達は解放され、キングスリーが臨時の魔法省大臣になった。ヴォルの遺体を移動して、フレッド、トンクス、ルーピン、コリン等戦って犠牲になっていった50人以上の人達の遺体から引き離した。そんなに犠牲者が出てたんですね(:_;)
マクゴナガル先生が大広間にテーブルを戻したが、もう寮に関係なく、教師も生徒もゴーストもケンタウルスも屋敷しもべも、皆ごちゃまぜに座った。フィレンツェも片隅で体力を回復し、微笑むグロウプの口に皆が食べ物を放り投げていて、ハリーはルーナの隣に座った。
「私だったら少し平穏と静寂が欲しいだろうと思うわ。」「欲しいよ。」「私が皆の気をそらしてあげるから、マントを使って。」ハリーが答える前にルーナは窓を指差して叫んだ。「まぁ~、見て、プリバリング・ハムディンガーよ!」皆が気をそらした隙にハリーはマントを着て歩き出した。ルーナってやっぱり人の気持が良くわかるいい子だな~、最後までヘンテコ生物で笑わせてくれるしw
2つ先のテーブルでお母さんの肩に頭をもたせかけジニーが座っているのをみつけた。後でゆっくり話す時間があるはずだ、何時間も何日もひょっとしたら何年も。グリフィンドールの剣を横たえ、取り囲まれて賞賛されているネビルもみつけた。自分達がここにいていいのか自信がなくて縮こまっているマルフォイ家の3人もみつけたが、誰も彼らに関心がないようだった。
あちこちで家族が再会しているのを見て、彼もついに一番必要としていた2人の友人をみつけて囁いた。「僕だよ、一緒に来てくれる?」2人はすぐ立ちあがり、彼とロン、ハーマイオニーは大広間を後にした。ピーブスがどこかの廊下で勝利の歌を歌っているのが聞こえる。幸せが訪れると思ったが、フレッド、ルーピン、トンクスを失った痛みは歩くたび傷のように痛んだ。
心から安心して眠りたかったが、何よりまず彼をずっと長い間忠実に支えてくれ真実を知るにふさわしい2人に説明するべきだった。ハリーはペンシーブで見た事、森で起こった事の全てを念入りに説明し、彼らは最後まで一言も挟まず、行く先にも触れなかったが校長室に到着した。
机に残していたペンシーブをちらりと見ると、突然の音にデスイーターが戻ったかヴォルが復活したのかとびっくりしたが、肖像画の歴代の校長達の大絶賛の声だった。
スタンディングオベーションで帽子やカツラを振ったり互いに握手をしたり踊ったり、でもハリーが見ていたのは一番大きな肖像画に描かれた男性だった。半月型のメガネの奥には涙が溢れ、誇りと感謝に満ちていて、不死鳥の歌のようにハリーを癒してくれた。ついにハリーが手を上げると校長達は敬意を示して沈黙し、微笑み、涙をぬぐい、ハリーはダンブルドアに最後のアドバイスを求めて言葉を選んで話し始めた。
「スニッチに隠されていた物を森で落して、正確にはどこだか分からないけど、探すつもりもありません。いいですか?」「親愛なる少年よ、賛成じゃ。期待した以上の賢く勇気ある決断じゃ。どこに落ちているか他に知る者はおるか?」「誰も。でもイグノータスの贈り物は持っているつもりです。」「だがハリー、当然それは君が誰かに譲り渡すまで君の物じゃ!」「そしてこれ。」ハリーがニワトコの杖を取り出すとロンとハーちゃんは畏敬の念で見つめた。「僕はこれは欲しくありません。」「何だって?正気か?」ロンは驚くけどハリーは続ける。「これが強力なのは分かってるけど、僕は自分の方がいい。だから・・・」ハリーは2つに折れてハーちゃんが修復できないと言った自分の杖を取り出した。これでダメならどうしようもない。机に置いてニワトコの杖先で少し触れ「レパロ」と言うと、杖はくっつき杖先から赤い光が飛び出した。成功だ!ヒイラギと不死鳥の杖を持ち上げると手が温かくなり、杖も喜んでいるようだった。
「僕はニワトコの杖をもとあった場所に戻します。そこに留まるはずだ。もし僕がイグノータスのように自然に死んだら、その力も共に消滅するんですよね?前の持主が打ち負かされなければ、その力も終わりを迎える。」ダンブルドアは頷き、2人は微笑みあった。「本気か?」とロンはもの欲しそうな様子だったが、ハーちゃんは「ハリーが正しいわ。」と静かに言った。
「この杖はその価値以上にトラブルを巻き起こす、本当に。」そう言うとハリーは肖像画達に背を向け、グリフィンドール塔で待っているベッドの事だけを考えていた、クリーチャーはサンドイッチを運んでおいてくれてるだろうかと思いながら。「僕はもう一生分の十分なトラブルにみまわれたよ。」
大広間の皆の感激の場面も嬉しかったけれど歴代校長の喜びっぷりも微笑ましく、最後のダンブルドアとのやり取りは感動でした。
最強のニワトコの杖で自分の杖を修復するなんてハリー賢いですね~。復活の石が無造作に森に落ちたままというのはちょっと心もとないけど、復活の石だって使える人を選ぶ訳だし、ニワトコの杖の所有者となっても使わずにその力を封印する決断をしたのは、ダンブルドアの言ったように一時は死の秘宝にあれほど魅了されていたのに、苦労の道程の中で本当に大切な事は何かをハリーが学んだという事ですよね。もったいなさそうにしてるロンは最後までらしいけど(笑)
ハリーの最後のセリフも最高です。もう後は空腹を満たして安心しきって眠りたいだけですよね。だってこんなに果てしない過酷な旅と戦いを乗り越えて来たんですもの!ハリーお疲れ様!
さぁ、残すは素敵なエピローグだけです。お楽しみに☆
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No.54|原作7巻/死の秘宝CommentTrackback()

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