原書7巻「Harry Potter and the Deathly Hallows」(ハリー・ポッターと死の秘宝)第16章までの感想スレッド。
7巻第16章までについてコメント可です。
※百味ビーンズの感想に含まれるタイトル和訳及び内容の解釈は百味ビーンズ独自のものですので、間違っている可能性もあります。ご了承ください。
9/13UpDate■第16章 Godric's Hollow(ゴドリックの谷)
ハリーは翌朝目覚め何が起こったのか思い出すと子供みたいに夢だったらいいのにと思う。ロンのいないベッドに目を背け起き出すとハーマイオニーはもう台所で忙しくしてて、おはようも言わずハリーが通ると顔を背ける。彼は行ってしまったんだ。そうすればショックが和らぐかのように心の中で繰り返すハリー。一度場所を移動してしまえば守りの魔法のせいでロンは自分達をみつける事ができなくなるので、ハリーには彼が戻らないと分かってた。
って、え~~~!!次の移動前に戻って来てくれなきゃ本当に二度と会えないの?!この情報で事の重大さが分かって愕然・・・。
黙って朝食を食べる2人。ハーちゃんは目を赤く泣き腫らして一睡もできなかったみたい。荷物をまとめ始めてもハーちゃんがなぜもたもたと時間を引き延ばしてるのかハリーには分かってた。ハーちゃんが激しい雨音の中にロンの足音が聞こえたのではと勘違いして何度も熱心に見上げる度にハリーもつい期待して見まわすけど、彼は現れない。雨で水かさが増した近くの川は溢れそうで、ハーちゃんは3回ビーズのバッグを詰めなおすともう引き延ばす理由がみつからなくなり、2人は手をつないで姿くらまし。
あ゛~~~!ついに移動してしまった。ロ~~~ン!(iДi)
到着するなりハーちゃんはハリーの手を離して歩き出し、大きな岩に座ると膝に顔をうずめて泣き出す。慰めてあげなきゃと思うのに何かがハリーを押しとどめる。ロンの軽蔑の表情を思い出し、ハリーの中の全てがとても冷たく堅かった。
その後数日2人は全くロンの話をしない。ハリーはロンの名前を言うまいと決めてたし、ハーちゃんも話しても仕方ないと分かってるようだったけど、ハリーが寝たと思ってる夜中には彼女が泣いてるのが聞こえた。
純血である事に守られたロンがホグワーツに現れるんじゃないかとハリーは忍びの地図で探すけどみつからない。代りにジニーの点をみつけ、彼女を起こしてしまうか彼女の事を考えてるのか伝わるんじゃないかと思うほど激しくその点をみつめて無事を祈るハリー。
2人はグリフィンドールの剣のありかを話しあうけど、話すほどに絶望的で何も思いつかない。ハリーはロンとダンブルドアどちらに怒ってるのかすら分からない時も・・・。ロンの言った事は正しいと認めざる得ないし、ダンブルドアは事実上何も残してくれてない。
ハリーはハーちゃんも去ってしまうんじゃないかと苦しんで絶えず様子を伺っているほど。2人は多くの夜をほとんど黙って過ごし、ハーちゃんはまるでロンのいない淋しさを埋めるようにフィニアス・ナイジェラスの肖像画を飾ってます。
見て下さいよ、ロンの不在による2人のダメージを!ハリーみたいに有名でも予言の子供でもないし、ハーちゃんみたいに優秀なわけでもないけど、いつも皆を笑わせてくれる、キツい事言っても本当は心優しいロン。仲良し3人組の中にロンがいる事がどれだけ重要だったのか思い知らされます;
ハリーにとって一番大切な親友なのは最初からだけど、ハーちゃんがこんなにも悲しんでる。いつのまにかロンは彼女にとって本当に本当に大切な人になってたんですね。ハーちゃんの傷心の姿が切なくてこの章も涙が止まらないです(;_;)どこにいるんだよぅ、ロン・・・。
フィニアスは最初に呼ばれて以来もう来ないと言ったクセに数日おきにやってきてはハリー達が何をしてるか知りたがり、かまをかけてくるとハーちゃんが無理やりバッグにしまっちゃうのに、失礼な別れも気にせず数日たつとまたやって来てます(笑)
意地悪でバカにした態度でも訪問者がいるだけでハリーは嬉しいくらい。自分以来初のスリザリン出身校長となったスネイプを尊敬してるフィニアスは、怒って帰っちゃうので批判したり生意気な事を言わないよう気をつけなきゃいけないけど、ホグワーツ情報の断片を漏らしてってくれます。
スネイプは反抗を受けてるようで、ジニーはいつもホグズミード行きを禁じられ、許可無き集会を禁じるアンブリッジのやり方が復活し、ジニーや多分ネビルやルーナも彼らなりにダンブルドア軍団を続けてるようです!
Xmasツリーを見かけるようになったのでせめてものスペシャルディナーという事で、ハーちゃんは透明マントで(でもちゃんとお金を置いて)マーケットへ。と言ってもスパゲティボロネーゼと洋梨の缶詰なんですけどね。
まともな食事で満腹な時なら説得しやすいだろうと、危険だからと反対されてたゴドリックの谷行きをきり出そうとするハリー。でもハーちゃんはビードルの本に夢中で上の空。この何か考えこんでたり上の空な時の「Hm?」というハーちゃんの生返事がなんか好きです(笑)
ハーちゃんが本の中にみつけたのは、ハリーがクラムから聞いた三角の中に目があるグリンデルバルドの印!本にもともと印刷されてたのではなく描かれてるみたいなんですが、子供向けの本になぜ?そして闇の魔法使いの印なら魔法省がチェックした時スクリムジョールは気付かなかったんでしょうか?
ゴドリックの谷行きは反対すると思ったのに、私もそうすべきだと考えてたのと言うハーちゃん。魔法史の教科書読んでないの?とおなじみのツッコミを入れつつ読んでくれます。
コーンウォール地方(ピクシーの生息地ですね)やヨークシャー、(ロンやルーナの家がある)オッタリーセントキャッチポール等、魔法使い達がコミュニティを作って住むようになった地域の中でも特に有名なのがゴドリックの谷。魔法使いの職人が最初のスニッチを作った場所であり、偉大な魔法使いゴドリック・グリフィンドールが生まれた地。という訳でそこにグリフィンドールの剣が隠されてるんじゃと考えてたのです。
両親のお墓とバチルダの事で行きたくて剣の事は考えてなかったハリーは「ミュリエルの言った事覚えてる?」と聞き、ピンと来ないハーちゃんにロンの名前は言いたくなくて「ジニーのおばさんだよ」と言うとハーちゃんもロンを思い出した様子なので「バチルダもゴドリックの谷に住んでるって」と続けると、ハーちゃんがあまりに劇的な表情をするのでデスイーターが入って来たのかとビックリ。ハーちゃんは何かをひらめいた時こういう表情しますよね。「もしバチルダが剣を持ってたとしたら?ダンブルドアが預けてたとしたら?」ハリーはそうは思えないけど、せっかく行く気になってくれたので「そうかも!」と話合わせてます。ハリーもハーちゃんの扱い上達してるかもw
家に帰れるんだ、家族のいた場所に。ヴォルデモートさえいなければハリーがそこで育ち、学校の休暇を過ごしたはずの場所。家に友達を招く事ができたかも、兄弟や姉妹がいたかも、17歳の誕生日にはお母さんがケーキを作ってくれたかも・・・。その場に行くのだと思うと失ってしまった人生がまざまざと目に浮かび、ハーちゃんが寝るとハグリッドがくれたアルバムを出して数ヶ月ぶりに両親の写真をじっくりみつめるハリー。ゴドリックの谷へのハリーの思い入れに心が熱くなります。
危険を覚悟で行くので、透明マントを着たまま姿あらわしする練習をしたり丸1週間かけて準備。Xmasの買い物をしてた中年のマグルの夫婦に変身して姿あらわし。ゴドリックの谷には雪が積もり、夜空には星が。「この雪!あんなに用心したのに気付かなかったなんて。足跡を消さなきゃ。先に歩いて、私が消すから。」とハーちゃんが言うけどハリーはパントマイムの馬みたいなかっこで村に入りたくない。
獅子舞に入ってる人達みたいに透明マントをかぶって縦に並んで後ろのハーちゃんがハリーの足跡を消しつつ歩くって事でしょか。その図を想像したらちょっと笑っちゃいましたw
「大丈夫だよ。僕達変身してるし、誰もいないじゃないか。」とマントを脱いで歩き出します。村の中央に戦没者記念碑のようなものがあり、両親が赤ちゃんのハリーを抱いてる銅像が。
暦の分からなくなってる2人は気付かなかったけど、教会から聞こえるクリスマスキャロルからして今日はXmasイヴのようです。なぜかピーブスのわめいてた下品なバージョンのクリスマスキャロルを連想させホグワーツのXmasを思い出すハリー。
ハーちゃんに「教会の向こうに墓地があるわ。ご両親がいるんじゃない?」と言われると、興奮より恐怖に近い気持になり、あんなに来たがってたのに本当に見たいのかも分からなくなるハリー。その気持をわかってるかのように、初めてハリーの手を引き先導するハーちゃん。ハンナ・アボットのアボット家のお墓や古くからの魔法一族のお墓が沢山あるようです。
ダンブルドアの母と妹、ケンドラとアリアナのお墓には「Where your treasure is, there will your heart be also.」と刻まれてます。残された家族の年長者だったダンブルドアが選んだ言葉でしょうが、ハリーはその意味が分かりません。私もよく分からないけど、あなたの宝がある所にあなたの心もあるでしょうって意味でしょうか。
とても古いお墓にグリンデルバルドのマークがあり、Ignotus(イグノータス?)と刻まれてます。誰?
やっと両親のお墓をみつけると「The last enemy that shall destroyed is death.」と刻まれていて、これもよく意味が分からないけど、破壊されるべき最後の敵は死という意味でしょうか。デスイーターが考えた言葉かと思うハリーだけど、ハーちゃんは「デスイーターのように死を征服すると言う意味じゃなく、死を超えた生、死後の生を意味してるのよ。」と言います。
でもこの虚しい言葉は両親が死んでしまったという事実は変えられない、涙があふれ出て、ぬぐっても何の意味があると流れるままにするハリー。固く手を握ってくれるハーちゃんの方を見る事ができないけど手を握りかえすハリー。何か両親にあげるものを持ってくれば良かったのにと思うけど、ちゃんとハーちゃんは花咲いたクリスマスローズのリースを出してくれ、それを両親にたむけるハリー。ハリーはハーちゃんの肩に手をまわし、彼女はハリーの腰に手をまわして2人は墓地を後にします。
まだ赤ちゃんで何も分からなかった両親が殺された日の事を、成長するにつれより深く理解して来たのだろうけど、両親のお墓を前にその事実がこれまでで一番実感を持って迫って来たのでしょうね。ハリーの悲しみに心が痛みます。
しかしゴドリックの谷はとてもいわくあり気な感じですね。なぜ本にもお墓にもグリンデルバルドの印があるんだろう・・・。
ネットで記事をみつけて気付いたのですが、ダンブルドア家とハリーの両親のお墓に刻まれた言葉は、新約聖書「コリント人への手紙」からの引用で、「あなたの財のある場所に、あなたの心がある」と「滅ぼされるべき最後の敵は死である」という文章である事が分かりました。
ハリー・ポッターのストーリー上、ダンブルドアやハリーの両親にとってどういう意味なのかも分かりませんし、この文章に宗教的にどういう意味があるのかもよく分かりませんが、ハリー・ポッターシリーズの中に聖書が引用されたのは、この部分が初めてだそうです!
これまでシリーズの新刊が発売されたり映画が公開されるたびに、保守派のキリスト教徒の一派が、聖書は魔術を禁止してる、シリーズはオカルトを推奨してる等とデモをしたり、学校図書館からの追放運動が起こったり、禁書に指定されたり、ローマ法王まで批難するといった騒動があり、なぜ大人達がファンタジーでありフィクションであるという事が解らず、こんなに大騒ぎするんだろうと理解できませんでした。
この論争はシリーズの絶対的人気に押され次第に沈静化し、最近の調査では信者の4割がシリーズを読むことは「罪ではない」と回答してるそうです。
この記事を書いている記者が、こういう背景のあったハリー・ポッターシリーズに初めて聖書が引用された事を「著者の一定の回答とも受け取れ、興味深い。」と言っていて、ストーリー上でも意味深なのに更に何かを暗示してるのかしら~と考えてしまいました。
考えてみてもきっと私には解らないんですけどね(笑)関連記事
ハリポタvs宗教右派 米国二分した論争 PR